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2024.05.15コラム

法令違反を回避!振替休日と代休の違いを分かりやすく解説

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振替休日と代休は休日に労働して平日に休むという制度であり、その特徴はとても似ています。しかしそれぞれの制度には明確な違いがあり、間違った運用を行っている場合、法令違反となってしまう可能性があります。今回は、振替休日と代休の特徴とそれぞれの違いについて解説していきます。

目次

1.振替休日の特徴
2.代休の特徴
3.振替休日と代休の違い
4.振替休日と代休の注意点
5.まとめ

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1.振替休日の特徴

振替休日とは、休日と定められた日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日とすることをいいます。つまり、休日と労働日を入れ替えることです。
振替休日は、振替出勤日の前後どちらで設定しても問題ありません。
振替を行い休日から労働日となった日は労働日として扱われるため、その日に労働しても休日出勤とはなりません。
振替休日定義.png

1‐1.振替休日を決めるタイミング

交換する休日と労働日は、事前に決める必要があります。例えば「今週の土曜日に振替出勤をする代わりに、来週の月曜日に振替休日を取る」というように労働日と休日を事前に決めておきます。

1‐2.割増賃金の支払い

振替出勤をした日について、1日8時間未満の労働時間であれば割増賃金は発生しません。これは、所定休日、法定休日に関わらず割増賃金は発生しません。しかし、1日8時間、週40時間を超えて労働した場合は25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
例えば、月曜日~金曜日まで1日8時間労働した後、土曜日に10時間労働を行った場合、1日8時間を超えた部分の2時間、週40時間を超えた部分の8時間の合計10時間について割増賃金の支払いが必要となります。

※週の残業計算を行う場合は、1日8時間超で発生した残業時間を控除して計算を行います。

振休_割増賃金.png

1‐3.振替休日の取得期限

労働基準法上、振替休日の取得期限についての詳細な規定はありません。しかし同法内で請求権の時効が2年と定めされているためこれを適用して原則2年で消滅と考えられています。
そのため、振替をした日から2年以内であれば振替休日の設定はどの日に行っても良いということになりますが、法定休日の取得義務である、1週1回、4週4休は守る必要があります。
さらに、取得期限を2年とした場合、未取得の振替休日が溜まってしまうという状況が考えられます。そのため振替の発生日から可能な限り早い期限を設定することが望ましいです。
取得期限は就業規則で定めることが可能なため実務に合わせた期限を設定しましょう。一般的には同一賃金精算期間内を取得期限として設定されています。
同一賃金精算期間を跨いでしまうと、例えば、締日が月末の会社の場合、4月30日の土曜日に休日出勤を行い、4月2日の月曜日に振替休日を取得した場合、3月分の給与では休日出勤分の賃金を支払い、4月分で振替休日分を控除する必要があり管理が煩雑になります。
また、週40時間の法定労働時間を超過しないよう調整するためには、振替を同一週内に確保するようなルールを決めておくのが望ましいです。

1‐4.振替休日の取得義務・取得単位

振替休日は基本的には取得させる必要があります。取得できなかった場合には、休日出勤として割増賃金を支払います。
また振替休日は、原則として半日・時間単位での取得は不可です。休日は暦日単位で付与する必要があるためです。
例外として、所定休日に振替出勤した分について振替休日を取得する場合は、半日単位での取得が可能となります。
1日出勤.png

2.代休の特徴

代休とは、休日出勤をした代わりに休日を他の労働日に取得することです。代休は、休日出勤の事後に休日を取得します。代休の付与は労働基準法上の義務ではないため、与えなくとも問題はありません。また、休日出勤に対する割増賃金が支払われていれば、1週間1回、4週間4回以上の休日が確保されていなくとも違法とはなりません。
また、代休取得の有無にかかわらず割増賃金の支払いは必要となります。

2‐1.休日を決めるタイミング

振替休日と異なり事後に代休の取得日を決めることが可能です。代休は必ずしも取得させる必要がないですが、取得を強制する場合は就業規則等に取得日の指定について具体的な定めをしておく必要があります。
例:代休の取得期限は休日出勤の翌日から2か月以内 など

2‐2.割増賃金の支払い

代休の取得有無にかかわらず割増賃金が発生します。また、所定休日と法定休日のどちらに休日出勤したかにより割増率が変わります。法定休日に労働した場合は135%(代休付与なし)または35%(代休付与あり)が発生します。一方で、所定休日に労働した場合は、所定休日の労働時間分について割増が発生するのではなく、週40時間を基準として超過した部分について割増が発生します。
割増率のポイントとして①代休取得の有無、②休日出勤が所定休日または法定休日のどちらかによって決まります。
代休_割増率.png

割増賃金の支払い方法についていくつかのパターンがあります。

①代休を付与する代わりに35%(または25%)のみ支払う
代休を付与することを前提として、割増部分のみ予め支払う方法です。休日出勤と代休取得が月度を跨いだ場合でも代休の取得期限を迎えるまでは、問題が発生しません。
しかし、取得期限を迎えて該当の代休が消滅した場合、未払い分の100%部分を支払う必要があります。
そのため、ある程度代休取得日の目途がついている場合に有効な支払い方法です。
割増35.png

➁135%(または125%)の賃金を支払い、代休を取得した場合に100%分をカットする
同一賃金精算期間内に休日出勤と代休の取得があれば問題ありませんが、月度を跨いで精算する場合には、代休取得の100%部分の賃金を控除する手間が発生します。
代休取得日の予測が立っていない場合に有効な支払い方法です。割増135.png

2‐3.代休の取得期限

代休の取得期限も振替休日と同様に原則2年間と考えられます。ただし、取得期限が長いと振替休日と同様に未取得の代休が溜まってしまうという状況が考えられます。そのため、代休についても可能な限り早い時期に取得できるような期限を設定しましょう。

2‐4.36協定の締結

代休は法律によって定められた制度ではないため、代休を与えなくとも違法と扱われることはありません。
しかし時間外労働や法定休日に労働させる場合には36協定の締結が必要です。

2‐5.代休の取得単位

代休は1日単位のみではなく、半日や時間単位で取得させることも可能です。
例えば、2時間だけ休日出勤をした場合、他の労働日の勤務時間を2時間減らして代休とすることが可能です。

3.振替休日と代休の違い

振替休日と代休の違いを以下の表にまとめました。
振替休日と代休比較.png

割増賃金の定めに関して、振替休日の場合は、振替出勤日に8時間超の労働を行った場合、8時間超の部分について25%の割増賃金の支払いが必要となります。
さらに、週の労働時間が1日単位の残業時間を除いた部分について40時間超となる部分についても25%の割増賃金の支払いが必要となります。
代休は、代休の付与有無と休日出勤日が法定休日か所定休日かにより割増率が変わります。

4.振替休日と代休の注意点

振替休日と有休の優先順位

振替休日を有休にしたいと労働者から申し出があった場合、有休の申し出は承認されるのが妥当です。
振替休日は無給であるのに対して、有休は有給であるため給与額に影響を与えます。このような観点から労働者側は振替休日を有休にしたいという申し出がある可能性があります。
会社の就業規則に振替休日について特段の記載がない限り、振替休日の取得を強制させることができません。
そのため振替休日の記載がない場合は、有休の申し出を承認することになります。振替休日の取得をしてもらうためには、就業規則の規定を見直す必要があります。
例:「休日出勤した際は振替休日を取得する」等就業規則への記載

代休と有休の優先順位

代休取得日は無給となるため、有休で処理したいと申し出がある可能性があります。このように有休の申請があった場合、企業は従業員の希望通り有休を取得させる必要があります。

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5.まとめ

振替休日と代休の大きな違いは休日を決定するタイミングと割増賃金の支払いです。就業規則や現場の実態では代休であるにもかかわらず、振替休日の運用を行っているような場合、適正に賃金が支払われていない可能性があります。法令違反や従業員とのトラブルが発生しないよう、就業規則の定めと運用が適正であるか確認を行い、従業員へルールの周知を行いましょう。

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