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2024.05.29コラム

勤務間インターバル導入で中小企業が得られる5つのメリット

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働き方改革の一環として、勤務間インターバル制度の導入が注目されています。この制度は、労働者の健康を守り、過重労働を防止するために、勤務終了後から次の勤務開始までに一定の休息時間を設けるというものです。
2019年4月からは、企業に対してこの制度の導入が努力義務化されました。この記事では、中小企業の事業主が勤務間インターバル制度を導入・拡大する際に利用できる助成金の概要と、導入のメリットについて詳しく解説します。

目次

1.勤務間インターバル制度の概要
2.インターバルは何時間必要?
3.5つの導入メリット
4.努力義務と罰則の現状
5.中小企業への導入助成金
6.勤労の獅子では勤務間インターバルのチェックが行えます
7.まとめ

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1.勤務間インターバル制度の概要

勤務間インターバル制度とは、労働者が前日の勤務終了後から翌日の勤務開始までに一定以上の休息時間を確保することを目的とした制度です。労働者の健康を守り、仕事と私生活のバランスを整えるために導入されました。

この制度が注目される背景には、長時間労働がもたらす過労や過労死の問題があります。特に日本では、労働時間が長くなる傾向が強く、これが原因で心身の健康を害するケースが多くあります。

こうした状況を受けて、政府は働き方改革の一環として勤務間インターバル制度を推進し始めました。この制度は、2017年3月に法律として制定され、2019年4月からは企業に対して制度の導入を努力義務として求めています。この努力義務は、企業が自主的に制度を導入し、労働者の健康維持に努めることを促すものです。

具体的には、企業が労働者の勤務時間を管理し、前日の勤務終了から翌日の勤務開始までに十分な休息時間を確保することが求められます。この取り組みにより、労働者の疲労を軽減し、健康を守ることができます。また、仕事の効率や生産性の向上にもつながると期待されています。
勤務間インターバル.png

2.インターバルは何時間必要?

勤務間インターバル制度における休息時間の具体的な長さについては、法律で明確に規定されていません。しかし、一般的な基準として、8時間から13時間の休息時間が望ましいとされています。これは、労働者が十分な睡眠を取り、次の日の勤務に備えるために必要な時間を考慮したものです。

例えば、勤務が深夜に及ぶ場合には、翌日の始業時間を遅らせるなどして、インターバルを確保することが求められます。深夜勤務は特に身体への負担が大きく、休息時間が短いと健康被害を引き起こすリスクが高まるためです。このため、多くの企業では、深夜勤務後の勤務間インターバルを12時間以上とする取り組みが行われています。

インターバル時間の確保には、シフトの調整や勤務時間の短縮などが必要となります。企業はこれを踏まえ、労働者が無理なく休息を取れるような勤務シフトを立てることが重要です。例えば、交代制勤務の職場では、シフト間の時間を十分に取ることで、労働者の疲労蓄積を防ぐことが求められます。

3.5つの導入メリット

勤務間インターバル制度の導入には多くのメリットがあります。

3-1.労働者の健康維持・向上

十分な休息時間を確保することで、疲労回復が促進され、心身の健康を保つことができます。特に、過労による心血管疾患や精神疾患のリスクを減らす効果があります。実際、休息が不足すると高血圧や心臓病のリスクが高まることが多くの研究で示されていますが、勤務間インターバル制度はこうしたリスクを低減するための有効な手段です。

3-2.ワークライフバランスの改善

休息時間が確保されることで、家族との時間や自己啓発の時間を持つことができ、労働者の仕事・プライベートに対する満足度が向上します。これにより、企業の定着率が改善され、優秀な人材の確保にもつながります。特に育児や介護と仕事を両立させている労働者にとって、この制度は大きな支えとなります。

3-3.生産性の向上

労働者が十分に休息を取ることで、翌日の業務に高い集中力を持って臨むことができ、結果として仕事の効率が上がります。これにより企業全体のパフォーマンス・業績向上に貢献します。例えば、ヨーロッパの一部企業では、この制度を導入したことで社員のパフォーマンスが向上し、売上が増加したケースもあります。

3-4.企業のイメージアップ

勤務間インターバル制度の導入は企業のイメージアップにも貢献します。働きやすい環境を整えることで、企業の社会的責任(CSR)を果たす姿勢が評価され、求職者や取引先からの信頼が向上します。これは、企業のブランド価値を高める要因となり、結果としてビジネスチャンスの拡大にもつながります。

3-5.法的リスクの軽減

労働基準法などの法令に従うことで企業はコンプライアンスを強化し、労働問題の発生を防ぐことができます。特に、日本では労働環境に対する監視が厳しくなっており、違反が発覚すると企業にとって重大な損害となる可能性があります。このようなリスクを避けるためにも、勤務間インターバル制度の導入は有効です。

4.努力義務と罰則の現状

現状では、勤務間インターバル制度の導入は努力義務とされており、導入しなかった場合の罰則はありません。この措置は、企業に対して法的な強制力を持たせることなく、各企業が自主的に労働者の健康維持とワークライフバランスの重要性を認識し、積極的に取り組むことを期待しているためです。

しかし、企業が勤務間インターバル制度を導入しないことで、将来的に法的なリスクを抱える可能性があります。例えば、過労死や過労による重大な健康問題が発生した場合、企業は労働安全衛生法や労働基準法に基づき、適切な労働環境を提供する義務を果たしていなかったとして法的責任を問われることがあります。このような状況を未然に防ぐためにも、企業は早期に勤務間インターバル制度の導入を検討し、労働環境の改善に努めることが重要です。

また、将来的には法整備が進み、罰則が設けられる可能性もあります。特に、労働環境の改善が進まない場合や、過労死などの労働問題が頻発する場合には、政府が強制力のある法規制を導入することが考えられます。このような状況に備えて、企業は今のうちから制度導入を進めることで、将来のリスクを回避することができます。

5.中小企業への導入助成金

働き方改革推進支援助成金には勤務間インターバル導入コースがあり、要件を満たすと助成金を受け取れます。
助成金の受取要件は、以下の通りです。

助成金の受け取り要件

対象事業者の要件
勤務間インターバル_受け取り要件.png
※支給対象となる事業主は、上記のいずれにも該当する中小企業事業主です。
中小企業事業主とは以下のAまたはBの要件を満たす中小企業です。
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支給対象となる取り組み

いずれか1つ以上の取組を実施する必要があります。

1.労務管理担当者に対する研修
2.労働者に対する研修、周知・啓発
3.外部専門家によるコンサルティング
4.就業規則・労使協定等の作成・変更
5.人材確保に向けた取組
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7.る無管理用機器の導入・更新
8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9.労務能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

成果目標の設定

事業主は、以下のいずれかの目標を設定し、達成に向けて取り組みます。
勤務間インターバル_成果目標.png
上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する当同社の時間当たりの賃金額の引き上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができます。
賃金額の引上げを成果目標に加えた場合の加算額は、指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて、以下の額を加算します。引き上げ人数は30人が上限です。
勤務間インターバル_補助率.png

支給額と補助率

取組に要した経費の一部が、成果目標の達成状況に応じて支給されます。補助率は3/4(特定条件下では4/5)です。
勤務間インターバル_支給額.png

申請手続き

1.交付申請書の提出

    • 最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)へ
    • 2024年11月29日(金)まで(必着)

2.取り組み実施期間

    • 交付決定の日から翌年度の1月31日まで

3.成果報告と支給申請

    • 実施後に労働局へ申請し、成果に応じた助成金を受け取る

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

6.勤労の獅子では勤務間インターバルのチェックが行えます

勤務間インターバルの設定を行うことで、シフト作成時、実績確定後に設定したインターバルチェック未満の時間であった場合にチェックを行います。
・シフト作成時にインターバル未満のシフトがあった場合のエラー
スケジュール登録.PNG

・実績確定後にインターバル未満の実績があった場合のエラー
スケジュールチェック1.PNG

スケジュールチェック2.PNG

>>「勤労の獅子」の資料をダウンロードする

7.まとめ

勤務間インターバル制度の導入は努力義務ではありますが、導入することで企業の価値を高め、労働者の満足度を高める制度です。制度導入のために必要な経費を助成する助成金制度があるため、助成金を活用して自社での導入を検討してみましょう。

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