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2024.10.08コラム

時短勤務者の有休管理!比例付与と賃金計算方法を解説

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時短勤務者における有給休暇の付与ルールは、フルタイム勤務者とは異なる独自の仕組みが適用されます。週の労働日数に応じた比例付与など、複雑なルールを正しく理解し、運用することが、企業にとって重要です。本記事では、時短勤務者への有給付与方法や、その計算方法について詳しく解説します。

目次

1.時短勤務とは?基本的な制度の概要
2.時短勤務者の有給付与日数の決め方
3.有給休暇取得時の賃金計算方法とは
4.時短勤務者の半日有休の取り扱い
5.勤労の獅子なら複数の有給付与パターンを設定可能
6.まとめ

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1.時短勤務とは?基本的な制度の概要

時短勤務制度は、育児や介護などの個人的な事情を抱える従業員が、通常のフルタイム勤務を続けることが難しい場合に、労働時間を短縮して働くことを認める制度です。この制度は、従業員が家庭と仕事を両立できるよう支援するもので、特に育児や介護の負担が大きい人にとって、生活と仕事のバランスを取るための重要な仕組みです。時短勤務は、従業員のワークライフバランスを向上させ、結果的に職場でのパフォーマンス向上にも寄与する可能性があります。

具体的には、1日の労働時間を通常の所定労働時間から短縮できるのが特徴です。例えば、通常8時間勤務の職場であれば、時短勤務を利用する従業員は6時間に短縮して働くことが可能です。また、労働時間の短縮だけでなく、残業を免除する制度も含まれることが多く、これにより、育児や介護を担う従業員が無理なく業務を継続できる環境を整えられます。

一方、企業側には労働時間の管理やシフト調整の負担が増える可能性があるため、あらかじめ就業規則に詳細な取り決めを記載し、運用のルールを明確にしておくことが求められます。例えば、時短勤務を希望する従業員がどのような条件で制度を利用できるかや、適用期間の設定など、具体的な運用ルールを整えることで、従業員と企業双方がスムーズに制度を活用できるようになります。

2.時短勤務者の有給付与日数の決め方

時短勤務者に付与される有給休暇の日数は、フルタイムの従業員と同様に、勤続年数に基づいて決定されますが、特に週の労働日数に応じた比例付与の仕組みが適用されます。この仕組みは、労働日数が少ない時短勤務者にも適正な日数の有給休暇を付与するためのもので、フルタイム従業員と比較しても公平な条件となっています。

具体的には、フルタイムの従業員であれば、勤続6カ月経過後に10日間の有給休暇が付与され、最大で勤続6.5年後には20日間の有給休暇が付与されます。一方、週に4日勤務している時短勤務者の場合、6カ月後に8日、週に3日勤務であれば6日、週に2日勤務であれば4日といった具合に、勤務日数に応じた日数が比例して付与されることになります。

比例付与の計算は、週の所定労働日数や年間の労働日数に基づいて行われます。例えば、週4日勤務の労働者であれば、年間労働日数が169日から216日の範囲に収まるため、この範囲内での有給付与が適用されます。逆に、週3日勤務の場合は年間121日から168日で、有給休暇の日数もそれに応じて少なくなります。このシステムによって、労働日数が異なる従業員間での不公平がなくなり、フルタイムの従業員と時短勤務者の間でバランスの取れた有給付与が行われるのです。

また、勤続年数に応じて有給休暇の日数は増加していきます。例えば、週に3日勤務している従業員の場合、6カ月経過後に付与される6日間の有給休暇は、勤続1.5年で7日、2.5年で8日と、勤続年数が増えるごとに加算されます。これにより、時短勤務者であっても、長期的に勤務することで十分な有給休暇を取得できるようになります。

比例付与による有給休暇の日数
比例付与.png

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3.有給休暇取得時の賃金計算方法とは

時短勤務者が有給休暇を取得した際の賃金は、その日の所定労働時間に基づいて計算されます。つまり、通常のフルタイム勤務者が1日8時間勤務の場合、その賃金は8時間分で支払われますが、時短勤務者の場合は労働時間が短縮されているため、例えば6時間勤務の従業員であれば、その日の有給休暇の賃金は6時間分として支給されることになります。これは労働基準法の「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいており、実際に働いた時間に対してのみ賃金が支払われるという基本的な考え方に従っています。

この賃金計算には、主に3つの方法があり、企業はどの方法を採用するかを明確にしておく必要があります。以下にその3つの方法について詳しく説明します。
有休給与計算3パターン.png

1. 平均賃金による計算方法

最も公平な計算方法の一つとして「直近3カ月の平均賃金」を基にする方法があります。これは、過去3カ月の総賃金額を、出勤した日数で割って1日あたりの賃金を算出するものです。この計算方法は、賃金が月によって変動する従業員にとって非常に適しています。例えば、繁忙期と閑散期で収入に差がある職種や、シフト制で勤務日数に変動がある場合に、公平な支払いが保証されます。

しかし、平均賃金方式は賃金が変動しない従業員に対しては少し複雑に感じられるかもしれません。また、企業はこの方法を選択する際、計算の手間や管理コストがかかるため、効率的に処理するためのシステム導入を検討することも考慮すべきです。

2. 通常賃金による計算方法

最も一般的に用いられている方法は、「所定労働時間働いた場合の通常賃金」に基づいて有給休暇の賃金を計算する方法です。これは、従業員が実際に働いたと仮定して、その労働時間分の賃金をそのまま支給するというものです。この方式は、計算がシンプルであり、ほとんどの企業で採用されているため、混乱を招くことが少ないのが特徴です。

たとえば、時短勤務で1日6時間働く従業員の通常の時給が1,500円であれば、有給休暇1日分の賃金は1,500円×6時間=9,000円となります。この方法は、賃金が固定されている従業員や、毎日決まった労働時間で働く従業員にとって、計算が簡単でわかりやすい方法です。

3. 標準報酬日額による計算方法

「標準報酬日額」に基づいて計算する方法もあります。これは、社会保険料の算定に用いられる標準報酬月額を30日で割って算出する日額を基にする方法です。社会保険に加入している従業員に対して適用され、企業にとっては簡便な計算方法の一つです。ただし、標準報酬日額は上限が設定されているため、高賃金の従業員に対しては、この方法が必ずしも有利でない場合もあります。

また、この方法は労働時間の短縮による影響をあまり考慮せずに賃金を算出できるため、フルタイム勤務者と時短勤務者の賃金に差が出る可能性が低いという利点があります。しかし、この計算方法を採用するには、労使協定を結ぶことが必要である点に注意が必要です。

適切な計算方法を選ぶための重要なポイント

企業は、これら3つの賃金計算方法の中から最適な方法を選び、事前に就業規則や労使協定でその内容を明示する必要があります。計算方法が明確でない場合、従業員が不利益を被ることもあり、トラブルに発展する恐れがあります。そのため、企業は有給休暇取得時の賃金支払いについて、透明性を持って運用し、従業員にしっかりと説明することが重要です。

また、適切な賃金が支払われていない場合、従業員は労働基準監督署に相談することができ、企業が法令違反と認定された場合は、罰則を受ける可能性があります。したがって、企業側は正確な計算と運用が不可欠であり、トラブルを未然に防ぐための管理体制の強化が必要です。

4.時短勤務者の半日有休の取り扱い

時短勤務者が有給休暇を取得する際、1日単位だけでなく、半日単位でも取得できることが認められています。フルタイム勤務者では、8時間労働のうち半分の4時間を半日有休として扱うのが一般的ですが、時短勤務者の場合、勤務時間が短いのでその割合に応じた扱いが求められます。
例えば、時短勤務者が1日6時間勤務している場合は、通常の4時間の半日有休ではなく、その半分の3時間を半日有休として取得することが適切です。このように、勤務時間に応じた対応が必要となるため、企業は従業員の勤務形態に合わせて柔軟に対応することが重要です。

法律の規定と企業の対応

日本の労働基準法には、有給休暇の半日単位での取得に関する具体的な規定は存在しません。そのため、各企業が就業規則で半日有休の扱いに関するルールを定める必要があります。例えば、午前と午後に分けての半日有休の取得を認める企業もあれば、特定の時間枠に限って半日有休を設定している企業もあります。時短勤務者の場合、通常のフルタイム勤務者よりも勤務時間が短いため、企業は半日有休の扱いについて事前にしっかりとルールを整備し、従業員にその内容を周知させる必要があります。

また、時短勤務者の勤務時間が短縮されていることにより、午前と午後での勤務時間に差が生じる場合があります。たとえば、午前勤務が短く午後勤務が長いケースなどです。このような差異がある場合、どちらを半日有休とするかでトラブルが発生する可能性があります。したがって、勤務時間のバランスを取るためにも、企業側が適切なガイドラインを設け、従業員が安心して有休を取得できるよう配慮することが求められます。
時短勤務者の半休.png

半日有休のルール策定のポイント

企業が時短勤務者に半日有休を適切に運用するためには、以下のポイントに注意することが重要です

1. 勤務時間に応じた適切な有休設定:フルタイム勤務者と同じ基準ではなく、時短勤務者の勤務時間に応じた半日の定義を明確にする。
2. 就業規則の整備:法律上の定めがない部分は、就業規則で明確に定義し、トラブルを未然に防ぐルールを策定する。特に、午前と午後のどちらが半日になるかを明確にすることが重要です。
3. 従業員への周知徹底:ルールが策定された後、全従業員に対してその内容を明確に伝える。社内のイントラネットやハンドブックなどを使い、常に確認できる状態にしておくことが望ましいです。
4. 公平な取り扱い:全従業員が不利益を被ることなく、有休を取得できるようにし、特に時短勤務者に対しても公平な取り扱いを行うことが必要です。

5.勤労の獅子なら複数の有給付与パターンを設定可能

「勤労の獅子」では、複数の有給付与ルールを設定することが可能です。
職種や雇用ごとに付与ルールが異なるなど、付与ルールが複数パターンあっても、自動で有給を付与できます。
また、比例付与にも対応しており、事前に設定した付与数をもとに、個々の勤怠実績に合わせた有給付与が自動で行われます。

有給付与ルール設定画面
有給付与パターン.png

有休付与数設定画面
勤労の獅子_比例付与パターン.png

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6.まとめ

時短勤務者に適用される有給休暇の付与は、週の勤務日数に基づく比例付与が基本となり、フルタイム勤務者との公平性を保つ仕組みです。企業は、有給付与の計算ルールを就業規則に明示し、従業員へ正しく周知することが求められます。適切なルール運用によって、労働者の不満を防ぎ、労務管理の透明性を確保できるでしょう。勤労の獅子を活用すれば、複数の付与パターンにも柔軟に対応でき、効率的な有給管理が可能です。

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