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振替休日は8時間未満(半日)でも取得可能?法律上の扱いと運用ポイントを徹底解説
振替休日は半日だけ取得することはできるか? 休日出勤が1日8時間未満の短時間だった場合、振替休日の扱いはどうなるのか?
人事労務担当者であれば、このような疑問を抱いた経験があるのではないでしょうか。振替休日と代休の違いや、法律で定められた運用ルールを正しく理解していないと、思わぬ労務トラブルや残業代計算ミスにつながる可能性もあります。
本記事では「振替休日は半日取得できるのか?」というポイントを中心に、振替休日制度の基本と代休との違い、8時間未満の勤務時間の場合の扱いについて解説します。振替休日制度を正しく運用し、法令違反を避けるためのヒントをつかんでいただければ幸いです。
目次
1.振替休日とは?
2.振替休日は半日取得できる?
3.振替休日を半日取得できない理由
4.所定休日の振替は半日取得が可能?
5.振替出勤が8時間未満の場合の扱い
6.代休との違いと半日取得の柔軟性
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7.まとめ
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1.振替休日とは?
まず、振替休日の基本的な仕組みを押さえておきましょう。振替休日とは、本来会社の休日と定められている日に労働し、その代わりに他の労働日を休日とする制度です。つまり 「休日」と「労働日」を事前に入れ替える ということです。振替休日を適用するためには、振替出勤させる日と振替休日とする日をあらかじめ指定しておく必要があります。例えば「今度の○曜日(本来の休日)に出勤する代わりに、翌週△曜日を休みにする」といった具合に事前に決めておくのが原則です。こうして所定休日と労働日を振り替えた場合、元の休日に出勤してもそれは法定上の「休日労働」には該当しなくなり、休日出勤に対する割増賃金(休日割増)の支払い義務が発生しないというメリットがあります。一方で、事前に振替日を指定せずに休日出勤させて後日休ませる形をとる場合は振替休日ではなく代休と扱われ、法律上は休日労働となる点に注意が必要です。まずは振替休日と代休は別の制度であることを押さえておきましょう。
2.振替休日は半日取得できる?
結論からいえば、振替休日を半日単位で取得することは原則認められていません。振替休日を与えるということは、「休日」を別の日に振り替えることですが、労働基準法上、使用者は労働者に対し毎週少なくとも1回の休日(または4週で4日の休日)を与えなければならないと定められており、ここでいう「休日」は午前0時から午後12時(24時)までの暦日で与える必要があると解釈されています。半日(例えば午前中だけ・午後だけなど)や数時間といった単位での休みは暦日単位の休日とはみなされず、休日の要件を満たさないためです。そのため、振替休日として休日を取得する場合は原則として1日まるごと休みにしなければならないという点を押さえておきましょう。半日ずつ休日を振り替えて2回に分けて休ませる、といった運用は基本的にできないと考えてください。
3.振替休日を半日取得できない理由
では、なぜ振替休日は半日では認められないのでしょうか。前述のように、法律上「休日」は連続した24時間の休息(日付単位の休み)を指します。仮に振替休日を半日だけ与えて残りの半日を他の日に振り替えるようなことをすると、労働者はその週に連続した24時間の休みが確保できなくなり、週1日以上の休日付与という労基法の定めに違反してしまう恐れがあります。またこれは法定休日に限った話ではなく、会社が独自に定めている所定休日であっても、原則として休日は暦日単位で与えるものとされています。つまり法定外の休日であっても就業規則などに特段の定めがない限り、半日や時間単位に分割して休みを与えることはできないというのが基本的な考え方です。以上の理由から、振替休日は原則1日(暦日)単位で取得させる必要があるのです。
4.所定休日の振替は半日取得が可能?
もっとも、例外的に会社の所定休日(法定外休日)の振替については半日単位で振替休日を与えることが可能と解釈されています。先述のとおり休日振替で問題となるのは「週1回の法定休日が確保されないこと」です。逆に言えば、法定休日(週に1日の休日)がきちんと別途確保されている限り、もう1日の所定休日の振替については半日でも差し支えないという考え方です。例えば週休2日制(土日休み)の企業で日曜日を法定休日、土曜日を所定休日としている場合に、所定休日の土曜日の休みを半日に分割して他の日に振り替えることは法律上禁止されていません。ただし、この半日振替を行う場合には自社の就業規則などで半日単位の振替休日を認める旨の規定を設けておくことが望ましいとされています。休日の振替は労働契約上労働者に不利益な変更となり得るため、就業規則への明記や労使の合意を経て運用することが重要です。いずれにせよ、法定休日を振り替えるケースでは半日振替は認められないこと、所定休日の振替について半日単位で休ませたい場合は就業規則の整備が必要であることを覚えておきましょう。
5.振替出勤が8時間未満の場合の扱い
では、振替出勤をしたものの実際の労働時間が1日8時間未満で終わった場合はどのように考えれば良いでしょうか。例えば本来休日である土曜日に社員が4時間だけ出勤し、振替休日として別の平日1日を休みにしたとします。この場合、社員は4時間働いただけでまる1日休暇を得ることになるため、企業側から見ると「労働時間と休暇時間が見合わない」という状況になります。しかし法定休日の振替であれば週の休日確保という観点から半日休みでは不十分なので、たとえ出勤時間が短くても振替休日は1日与えなければなりません。これは労務管理上やむを得ない点といえます。一方、振替出勤日が法定外休日(所定休日)で、就業規則で半日振替を認めている場合には、半日勤務に対して半日分の振替休日を別日に与える運用も可能です。
ここで押さえておきたいのが時間外割増賃金の扱いです。振替出勤により本来の休日を労働日に振り替えた場合、1日8時間未満の労働時間であれば時間外労働の割増賃金は発生しません。振替によってその出勤日は通常の労働日とみなされるため、所定休日・法定休日の別を問わず8時間以内の労働であれば割増賃金は不要というわけです(週の法定労働時間40時間内に収まる場合)。しかし1日8時間を超えて労働した場合や、振替により結果的に週40時間を超える労働が発生した場合には、その超過分について25%以上の割増賃金を支払う必要があります。振替出勤を半日だけ行ったケースでは、通常は週40時間内に収まることが多いため割増賃金の問題は起きにくいですが、週の総労働時間との兼ね合いも含めて残業代計算を正確に行うことが大切です。
なお、半日程度の短時間の休日出勤に対して振替休日をまる1日与えることが難しいという場合は、無理に振替休日制度を適用せず代休制度を活用することも一つの方法です。振替休日は事前に休日と労働日を入れ替える必要がありますが、代休であれば事後的に半日や時間単位で休みを付与する運用も可能です。このようにケースに応じて振替休日と代休を使い分けることで、労働時間と休暇時間のバランスを柔軟に調整することができます。
関連記事:法令違反を回避!振替休日と代休の違いを分かりやすく解説
6.代休との違いと半日取得の柔軟性
代休とは、振替休日と異なり事前に休日を振り替えるのではなく、休日出勤した後で別の日に休暇を与える運用です。法律上必ず与えなければならないものではありませんが、社員の健康管理や士気の面から休日出勤の埋め合わせとして会社が自主的に休暇を付与する制度です。振替休日との大きな違いは、代休を与えても休日出勤自体は「休日労働」とみなされる点です。したがって法定休日に休日出勤した場合は代休を与えても休日労働分の割増賃金(35%以上)は必要ですし、所定休日の休日出勤であれば週40時間超え分の割増賃金(25%以上)の支払い義務が発生します。代休はあくまで「休日出勤に対する休暇の埋め合わせ」であり、振替休日のように割増賃金の支払い免除効果はない点に注意しましょう。
その一方で、代休は振替休日と比べて取得単位の柔軟性が高いという利点があります。法律上「休日」として与えるものではないため、企業の裁量で半日や時間単位で代休を付与することが可能です。極端な例では、社員が2時間だけ休日出勤したケースで、その週の別の勤務日の所定労働時間を2時間短縮して代休(2時間分)とする、といった対応もできます。実際にも「午後だけ代休を取得する」「◯時間分の代休をまとめて後日に取得する」といった運用を認めている会社も少なくありません。代休制度であればこのように労働時間に見合った休暇を柔軟に与えることができるため、半日勤務や数時間だけの休日出勤が発生するケースでは振替休日よりも代休の方が現実的に運用しやすい場合があります。
もっとも、振替休日と代休を組み合わせて運用する場合は管理上の注意も必要です。振替休日は取得期限の管理(振替日をいつまでに設定するか)や割増賃金の有無、代休は取得漏れや消化期限の管理など、それぞれルールが異なります。手作業や属人的な管理で運用していると、振替休日を付与し忘れて法定休日の取得不足となったり、代休を未消化のまま時効にしてしまったりといった管理ミスにつながる恐れがあります。振替休日と代休の違いを正しく理解した上で、それぞれの制度に応じた適切な管理体制を整えることが重要です。
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7.まとめ
振替休日と代休はともに「休日に出勤した代わりに別日を休む」ための制度ですが、適用条件や運用ルールが大きく異なる点に注意が必要です。本記事では振替休日は原則半日取得できないこと、その理由と例外条件、そして代休との違いや活用方法について解説してきました。振替休日は暦日単位(1日単位)で与える必要があり、半日単位で運用できるのは法定外休日を振り替える場合に限られること、反対に代休は半日や時間単位でも付与できる代わりに休日労働自体の割増賃金支払い義務は免除されないことなど、それぞれの制度のポイントをご理解いただけたと思います。自社の就業規則や運用方法を見直し、振替休日・代休の扱いが労働基準法の趣旨から逸脱していないか、半日取得の取り扱いなどで誤った運用をしていないかを確認することが重要です。もし振替休日制度の運用に不安がある場合は、専門家に相談したり、自社のルールを再整備したりすることを検討しましょう。
また、振替休日や代休の管理ミスを防ぎ適切に運用していくためには、勤怠管理システムの導入も有効な手段です。クラウド型の勤怠管理システムであれば、休日出勤の記録から振替休日・代休の付与まで一元管理でき、付与漏れや取得忘れといった人的ミスを防止できます。煩雑になりがちな振休・代休の管理をシステム化することで、担当者の負担軽減と法令遵守の両立を図ることができるでしょう。
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