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「労働時間」に含まれるもの・含まれないものの違いとは?【具体例や法令の解釈を徹底解説】
労働時間に含まれるのは、始業から終業までだけではありません。着替えや仮眠、出張移動なども「雇用主の指揮命令下」にあれば労働時間と見なされます。本記事では、具体例と法的根拠をもとに「労働時間に含まれるもの・含まれないもの」の違いをわかりやすく解説します。
目次
1.そもそも「労働時間」とは?基本の定義と種類
2.「労働時間」とみなされる具体的なケースと判断基準
3.「労働時間」に含まれないと判断されるケース(例外)
4.労働時間の正しい計算方法と勤怠管理の注意点
5.よくある質問(FAQ):労働時間に関する疑問を解消
複雑な労働時間管理を効率化する「勤労の獅子」
6.まとめ:適切な労働時間管理でトラブルを回避する
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1. そもそも「労働時間」とは?基本の定義と種類
労働時間の管理を適切に行うためには、まずその基本的な定義と、混同しやすい関連用語を正確に理解することが出発点となります。
1-1.労働時間の法的定義:指揮命令下の時間
労働時間とは、労働者が雇用主の「指揮命令下」に置かれている時間を指し、賃金計算の基準となるものです。この「指揮命令下」という概念は、単に雇用主からの明確な指示があった場合だけでなく、労働者が事実上労働せざるを得ないような「黙示の指示」も含む点が極めて重要です 。例えば、明示的な残業命令がなくとも、業務量が過多で定時内に終わらないことが常態化しており、従業員が自主的に残業せざるを得ない状況にある場合、これは「黙示の指示」による労働とみなされる可能性があります 。
この定義の根底にあるのは、就業規則や雇用契約書の記載内容といった形式的なルールだけでなく、客観的に見て労働者の行為が雇用主から義務付けられたものと言えるか、という「実態に基づいた判断」がなされるという原則です 。したがって、企業が「これは労働時間ではない」と規定していても、実態として従業員が拘束され、自由に時間を使うことができない状況であれば、それは労働時間として扱われることになります。このような実態と規定の乖離は、未払い賃金請求や労働基準監督署からの指導など、労働トラブルに直結する大きなリスクとなり得ます。勤怠管理者は、書面上のルールだけでなく、実際の職場環境や従業員の認識にも目を向け、潜在的な労働時間を見過ごしていないかを確認する必要があります。これにより、労働基準法第32条で定められた「1日8時間、週40時間」という法定労働時間の遵守はもちろん、従業員への適切な賃金支払いを徹底し、企業の信頼性を維持することが求められます。
1-2.混同しやすい「労働時間」の種類を整理
「労働時間」という言葉は一括りにされがちですが、法律上はいくつかの異なる概念が存在し、それぞれが勤怠管理において重要な意味を持ちます。これらの違いを明確に理解することは、正確な労働時間計算と法遵守のために不可欠です。
・所定労働時間: 企業が就業規則や労働契約によって独自に定める「従業員が勤務する時間」です。例えば、「始業9:00、終業18:00、休憩1時間」の場合、所定労働時間は8時間となります 。この時間は、後述する法定労働時間を超えて設定することはできません 。
・法定労働時間: 労働基準法によって定められている労働時間の上限です。原則として「1日8時間、週40時間」とされており、企業はこの上限を超えて従業員を働かせることはできません 。この時間を超えて労働させた場合、時間外労働として割増賃金の支払い義務が発生します。
・実労働時間: 実際に労働者が雇用主の指揮命令下で業務に従事した時間の合計です。休憩時間を除いた、賃金計算の基礎となる時間であり、所定労働時間や法定労働時間を超えた残業時間も含まれます 。
・拘束時間: 始業から終業までの時間全体を指し、実労働時間と休憩時間の合計時間です。従業員が職場にいる総時間であり、実際に働いている時間だけでなく、休憩時間も含まれます 。
以下の表に、これらの労働時間の種類とその定義、関係性をまとめました。
2.「労働時間」とみなされる具体的なケースと判断基準
「指揮命令下」という労働時間の定義は、具体的な状況において多岐にわたる解釈を必要とします。ここでは、特に判断が難しい、労働時間とみなされる可能性のある具体的なケースとその判断基準を詳しく解説します。
2-1.始業・終業前後の準備・片付け時間
始業前や終業後の準備・片付け時間は、一見すると労働時間外に思われがちですが、その実態によっては労働時間とみなされることがあります 。重要な判断基準は、その活動が雇用主によって「義務付けられ、または、これを余儀なくされたとき」に該当するかどうかです。
例えば、始業前に制服や作業着への着替えが義務付けられている場合、その着替え時間は労働時間に該当する可能性が高いです 。この「着替え時間」が労働時間に含まれるか否かは、過去の裁判でも争点となっており、作業着や防護具着用のための準備時間について、「業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、または、これを余儀なくされたときは」、原則として労働時間に含まれると判示しています 。一方、終業後の着替えについては、制服のまま帰宅することを禁じられているなど特段の事情がない限り、労働時間には含まれない可能性が高いですが、企業は従業員が「やらざるを得ない」と感じる状況であれば、それは実質的な労働とみなされることを認識すべきです。勤怠管理者は、形式的なルールだけでなく、従業員が実際にどのような状況でこれらの活動を行っているかを把握し、必要に応じて労働時間として適切に計上する体制を整える必要があります。これにより、未払い賃金のリスクを回避し、従業員の公平な待遇を確保することができます。
関連記事:着替えは労働時間?裁判事例と企業の対応策を詳しく解説
2-2.手待ち時間・仮眠時間:待機中の業務は労働時間
手待ち時間とは、電話番や来客待ちなど、作業が必要になるまで待機する時間のことです 。また、仮眠時間についても、緊急時には即座に対応することが予定されている場合、労働時間に含まれるのが基本です 。これらの時間は、従業員が実際に作業を行っていなくても、電話や来客があればすぐに対応する必要があるため、実質的に雇用主の指揮命令下にあり、自由に時間を使うことができない状態とみなされます。
この種の時間の判断において決定的な要因となるのは、従業員がその時間を自由に利用できるかどうか、つまり「自由利用が保障されていない」という点です。例えば、店員が顧客を待っている時間や、タクシー運転手の客待ちの時間、休憩中に電話番をしている時間などは、いつ業務が発生するか分からないため、従業員は自由にその場を離れたり、私的な活動を行ったりすることができません。このような拘束状態にある時間は、労働時間として扱われるべきです。企業は、従業員の「待機時間」や「仮眠時間」を単なる休憩とみなすのではなく、その時間における従業員の行動の自由度がどの程度制限されているかを客観的に評価する必要があります。特に、警備員や医療従事者、ドライバーなど、待機やオンコールが業務の一部となっている職種においては、これらの時間を労働時間として適切に管理することが、未払い賃金問題を防ぐ上で極めて重要です。
2-3.業務命令による研修・勉強会・朝礼・清掃活動
企業が従業員に業務命令として参加を義務付けた研修会や勉強会、朝礼、清掃活動などは、原則として労働時間とみなされます 。これは、従業員が雇用主の指揮命令下で、業務に必要な活動に従事していると判断されるためです。
たとえこれらの活動が「任意参加」と称されていても、その実態が重要です。例えば、参加状況が人事評価に反映される場合や、活動内容が業務に直結し、参加しないと業務遂行に支障が出る場合、あるいは社内の雰囲気から事実上参加を断ることができない状況であれば、それは「業務としての性格」を持つと判断され、労働時間に含まれる可能性が高くなります。この判断の鍵となるのは、活動が主に誰の利益のために行われ、従業員にどの程度の強制力があるかという点です。従業員がその活動に参加しないことで不利益を被る可能性があれば、それは真の意味での任意とは言えません。勤怠管理者は、研修や会議、その他の集団活動について、その目的と参加の強制力について明確な基準を設け、従業員に誤解を与えないよう周知徹底する必要があります。本当に任意であるならば、参加しない従業員が不利益を被ることがないよう、社内文化の醸成にも努めるべきです。
2-4.出張や移動時間:業務性が認められる場合
通勤時間は一般的に労働時間には含まれません。これは、通勤が従業員自身の自由な裁量に委ねられた行為であり、雇用主の指揮命令下にあるとはみなされないためです。しかし、業務遂行のために必要な移動時間、特に出張時の移動時間や、複数の事業所間を移動する時間については、労働時間とみなされる場合があります。
移動時間が労働時間と判断されるのは、雇用主が業務に従事するために必要な移動を命じ、かつその時間中に労働者の自由な利用が保障されていないと認められる場合です。例えば、営業担当者が顧客を訪問するために移動している時間や、技術者が複数の現場を巡回している時間などは、移動自体が業務の一部とみなされるため、労働時間に含まれる可能性があります。また、移動中に業務を行うことが義務付けられている場合(例:新幹線内で資料作成を指示されている)も、労働時間と判断されます。同じ移動時間でも、個別の状況に応じた判断が求められます。事務所と現場の移動時間について争われた裁判例では、その実態によって異なる判決が下されており、移動時間が労働時間に該当するかどうかは個別具体的に判断する必要があるため、判断に迷う場合は専門家への相談も検討すべきでしょう。企業は、移動の目的、移動中の従業員の行動の自由度、および移動中に業務指示があったかどうかなどを総合的に考慮し、労働時間として計上すべきか否かを判断する必要があります。
2-5.「自主的な残業」や「持ち帰り残業」も労働時間になる?
従業員が自らの意思で行う「自主的な残業」や、自宅に仕事を持ち帰って行う「持ち帰り残業」は、雇用主が明示的に命令・指示していないため、労働時間ではないと考える企業も少なくありません。しかし、これらも労働時間とみなされる可能性があり、特に注意が必要です。
重要なのは、上司が部下の残業を「黙認」していた場合や、業務量が過多で「やむを得ず残業」せざるを得ない状況であった場合です。このような状況では、たとえ明示的な命令がなくても、従業員は事実上、雇用主の指揮命令下で労働していると判断されることがあります。これは、企業が従業員の実際の業務状況を把握せず、過大な業務量を放置していることで、結果的に未払い賃金が発生するリスクを生むことを意味します。「サービス残業」は、単に「残業を禁止する」という方針を示すだけでは防ぎきれません。その根底には、不十分な人員配置、非現実的な納期設定、あるいは「残業は当たり前」といった企業文化など、構造的な問題が潜んでいることが多いです。企業は、残業を事前許可制にする、終業後は速やかに帰宅を命じるなどの対策を講じるだけでなく 、従業員の業務量を適切に管理し、過度な負担がかからないよう配慮することが不可欠です。これにより、従業員が不本意な形でサービス残業を行う状況を根本から解消し、労働トラブルを未然に防ぐことができます。
3.「労働時間」に含まれないと判断されるケース(例外)
労働時間の定義を理解する上で、何が労働時間に含まれるかだけでなく、何が原則として含まれないかを把握することも重要です。これにより、勤怠管理の境界線を明確にすることができます。
原則として労働時間に含まれない時間
労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指すため、この条件を満たさない時間は原則として労働時間には含まれません。
・通勤時間: 自宅から会社、または会社から自宅への移動時間である通勤時間は、労働者が自身の裁量で移動手段や経路を選択できるため、原則として労働時間には含まれません。これは、労働者がその時間を自由に利用できる状態にあるとみなされるためです。
・休憩時間: 労働基準法によって定められた休憩時間は、労働者が労働から完全に解放され、自由に時間を利用できる場合に限り、労働時間には含まれません。しかし、休憩中に電話番をさせられたり、来客対応を求められたりするなど、業務を依頼された場合は、その時間は休憩時間とは認められず、労働時間とみなされます。企業は、従業員が定められた休憩時間を確実に確保できるよう配慮する義務があります。
・真に自主的な活動: 業務とは直接関係のない、従業員が完全に自らの意思で行う活動(例:業務に直結しない自主的な学習、任意参加の社内イベントなど)は、雇用主の指揮命令下にないため、労働時間には含まれません。ただし、前述の通り、たとえ「任意」とされていても、参加状況が人事評価に反映されるなど、事実上の強制力がある場合は労働時間と判断される可能性があります。
これらの時間に共通するのは、従業員が雇用主の拘束から解放され、その時間を自由に利用できるという点です。この「時間の自由利用」という原則は、労働時間か否かを判断する上での重要な基準となります。勤怠管理者は、従業員が休憩時間中に業務を依頼されないよう徹底したり、任意活動の「任意性」を確保したりすることで、労働時間の適切な管理と法令遵守を徹底する必要があります。
4. 労働時間の正しい計算方法と勤怠管理の注意点
労働時間の定義と具体的なケースを理解した上で、次に重要となるのが、その時間をいかに正確に計算し、適切に管理するかという実務的な側面です。
4-1.1分単位での計算が原則:賃金全額払いの原則
労働時間の計算において、最も重要な原則の一つが「1分単位での計算」です。労働基準法第24条に定める「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」という賃金全額払いの原則に基づき、労働者が実際に働いた時間は1分たりとも切り捨てることは許されません。
例えば、15分単位で労働時間を切り捨てるような運用は、労働基準法違反となります。たとえ数分の切り捨てであっても、それが積み重なれば未払い賃金となり、労働者からの請求や労働基準監督署からの指導の対象となります。これは、わずかな時間であっても、労働者が提供した労働に対する対価を全額支払うという、労働法における基本的な考え方を示すものです。勤怠管理者は、勤怠管理システムや手作業での記録において、1分単位での正確な記録と計算がなされているかを確認し、必要に応じてシステムの改修や運用ルールの見直しを行う必要があります。
4-2.残業時間・深夜労働・休日労働の割増賃金ルール
法定労働時間を超えて労働させた場合や、特定の時間帯・曜日に労働させた場合には、通常の賃金に加えて割増賃金を支払う義務が発生します。
・時間外労働(残業): 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させた場合、25%以上の割増賃金が必要です。時間外労働を行わせるには、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結と届出が必須であり、その上限は原則として月45時間、年360時間までと定められています。ただし、特別な事情がある場合には、年間720時間まで残業できる特例もあります。
・深夜労働: 午後10時から午前5時までの時間帯に労働させた場合、25%以上の割増賃金が必要です。
・法定休日労働: 労働基準法で定められた法定休日(週1回または4週4日)に労働させた場合、35%以上の割増賃金が必要です。
4-3.サービス残業を防ぐための勤怠管理対策
「サービス残業」は、従業員のモチベーション低下や企業の法的リスクに直結する深刻な問題です。これを防ぐためには、単なる規則だけでなく、実効性のある勤怠管理対策を講じることが不可欠です。
1.事前許可制の導入: 残業を必要とする場合は、事前に上長への申請と承認を義務付ける制度を導入します。これにより、無許可の残業やサービス残業を抑制し、労働時間を可視化できます。
2.終業後の速やかな帰宅命令: 定時になったら速やかに退社するよう従業員に促し、場合によっては強制的な帰宅命令を出すことも有効です。これにより、従業員が「なんとなく残ってしまう」状況や、黙示の指示による残業を防ぎます。
3.勤怠管理システムの活用: 1分単位での正確な打刻・記録が可能な勤怠管理システムを導入し、自動で労働時間を集計・計算できる体制を整えることが重要です。これにより、手計算によるミスを防ぎ、管理業務の効率化にも繋がります。
4.労働時間の実態把握と業務量の適正化: 勤怠データから従業員の労働時間を定期的にモニタリングし、恒常的に長時間労働が発生している部署や個人を特定します。その上で、業務量の偏りや過剰な業務がないかを見直し、必要に応じて人員配置の調整や業務プロセスの改善を行うことで、サービス残業の根本原因を解消します。
5.従業員への教育と周知: 労働時間の定義、残業のルール、勤怠報告の重要性などについて、従業員に対し定期的な教育と周知を行います。特に、「サービス残業は違法である」という認識を徹底させ、もしサービス残業が発生しそうになった場合の相談窓口を明確にすることも有効です。
6.管理職への指導強化: 管理職は、部下の労働時間を管理し、サービス残業を発生させない責任を負います。管理職に対し、労働時間の定義、割増賃金ルール、そして部下の業務量管理の重要性について徹底した指導を行い、適切なマネジメントを促すことが不可欠です。
これらの対策は、単に法律を遵守するためだけでなく、従業員の健康とモチベーションを維持し、生産性の高い職場環境を構築するためにも重要な取り組みです。
5. よくある質問(FAQ):労働時間に関する疑問を解消
勤怠管理者からよく寄せられる労働時間に関する疑問について、Q&A形式で解説します。
Q1:リモートワーク中の休憩時間はどのように扱えばよいですか?
A1:リモートワーク中の休憩時間も、オフィス勤務と同様に、労働者が労働から完全に解放され、自由に時間を利用できる場合に限り、労働時間には含まれません 。しかし、チャットや電話での対応を義務付けられている、あるいは事実上対応せざるを得ない状況であれば、その時間は労働時間とみなされる可能性があります。企業は、リモートワークにおいても従業員が確実に休憩時間を取得できるよう、明確なルールを設け、その運用を徹底する必要があります。
Q2:出張中の移動時間はすべて労働時間になりますか?
A2:いいえ、出張中の移動時間がすべて労働時間になるわけではありません。移動時間が労働時間と判断されるのは、雇用主が業務に必要な移動を命じ、かつその時間中に労働者の自由な利用が保障されていないと認められる場合です。例えば、移動中に業務指示を受けて資料作成を行う場合や、移動自体が業務目的(例:営業訪問のための移動)である場合は労働時間に含まれる可能性が高いです。一方、単なる移動手段の利用で、その時間を自由に過ごせる場合は労働時間とはみなされません。個別の状況によって判断が異なるため、注意が必要です。
Q3:朝礼や清掃活動が「任意参加」の場合でも労働時間になりますか?
A3:原則として、真に任意参加であり、参加しなくても不利益を被ることがない活動は労働時間には含まれません 。しかし、たとえ「任意参加」とされていても、参加状況が人事評価に影響する、参加しないと業務に支障が出る、あるいは社内の雰囲気から事実上参加を断ることができないといった状況であれば、それは「業務としての性格」を持つと判断され、労働時間に含まれる可能性が高くなります。企業は、活動の「任意性」を確保するため、従業員に不利益が生じないことを明確にし、強制力がないことを周知徹底する必要があります。
複雑な労働時間管理を効率化する「勤労の獅子」
ここまで見てきたように、「労働時間」の定義は複雑であり、その管理には法的知識と実務的な対応が求められます。特に、1分単位での正確な計算、多様な労働形態への対応、そしてサービス残業の防止は、勤怠管理者にとって大きな課題です。手作業や古いシステムでの管理では、計算ミスや見落としが発生しやすく、それが未払い賃金問題や法的リスクに直結する可能性も否定できません。
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6. まとめ:適切な労働時間管理でトラブルを回避する
「労働時間」の定義は、単に始業から終業までの時間を指すだけでなく、雇用主の「指揮命令下」にあるか否かという客観的な実態に基づいて判断されます。特に、準備時間、手待ち時間、研修参加、移動時間、そして「自主的な残業」といった、一見すると労働時間外に思われがちな活動が、法的には労働時間とみなされるケースが少なくありません。これらの見落としがちな時間を適切に把握し、管理することは、未払い賃金請求や労働基準監督署からの指導といった法的リスクを回避する上で不可欠です。
勤怠管理者は、労働時間の法的定義とその種類を正確に理解し、1分単位での厳格な計算原則を遵守する必要があります。また、時間外労働や深夜労働、法定休日労働に対する割増賃金ルールも複雑であり、正確な計算が求められます。これらの計算ミスは、企業の信頼性低下や経済的損失に直結するため、自動化された勤怠管理システムの活用や、定期的な監査が有効です。
最も重要なのは、「サービス残業」を根絶するための積極的な取り組みです。これは、単にルールを設けるだけでなく、業務量の適正化、従業員への教育、そして管理職の意識改革といった、組織全体での継続的な努力を必要とします。適切な労働時間管理は、法令遵守の基盤であると同時に、従業員の健康とエンゲージメントを高め、結果として企業の生産性と競争力向上に貢献する戦略的な取り組みと言えるでしょう。常に最新の法改正にも目を向け、柔軟かつ正確な勤怠管理体制を構築することが、持続可能な企業運営の鍵となります。
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