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2025.12.19コラム

労働基準法が40年ぶりの大改正!2026年の法改正議論で、人事・勤怠管理は何を準備すべきか

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労働基準法の抜本的な見直しに向け、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」で議論が進んでいます。
2026年以降の改正が取り沙汰されていますが、現時点で施行時期や条文が確定しているわけではありません。
ただし、労働時間・休日・休息の考え方を見直す方向性は明確です。
この記事では、なぜ今改正が議論されているのか、検討中の9つの論点、そして勤怠管理や就業規則にどのような影響が出やすいのかを、実務目線で整理します。

目次

1. なぜ今、労働基準法の改正が議論されているのか
2. 2026年の労基法改正に向けて議論されている主要ポイント
3. 労働基準法の改正はいつ行われる見込みか
4. 勤怠管理・就業規則への影響
5. 勤労の獅子について
6. まとめ

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1. なぜ今、労働基準法の改正が議論されているのか

    働き方の変化と現行制度のズレ

    約40年ぶりとなる労働基準法の抜本的見直しが進められています。背景には、社会の働き方が戦後直後の「工場労働モデル」前提から大きく変化したことがあります。たとえばコロナ禍を経てテレワークやフレックスタイム制、副業・兼業が広がり、「働く時間・場所を自分で選ぶ」という柔軟な働き方が一般化しました。しかし現行の労働基準法(1947年制定)は「一箇所に集まって一斉に始業・終業する」昭和時代の想定で作られており、現代の実態との間に大きなズレが生じています。

    このズレが現場で様々な問題を招いています。例えばテレワーク中の家事・育児による「中抜け時間」の扱いや、移動中のメール対応を労働時間とするかなど、現行法では明確な基準を出しにくくなっています。また政府は副業を推奨していますが、現行法上は他社との労働時間を通算管理する必要があり、企業側にとっては他社での労働時間を把握しきれない負担から副業解禁のブレーキになっていました。こうした働き方の多様化と現行制度のミスマッチを是正するため、厚生労働省は2024年に「労働基準関係法制研究会」を立ち上げ、働き方改革関連法の施行後5年を目途とした検討に着手しました。単なる規制強化ではなく「制度のOS」をアップデートするとの位置づけで、労働者保護と柔軟な働き方の両立を図ることが今回の改正議論の目的です。

    2. 2026年の労基法改正に向けて議論されている主要ポイント

    現在示されている労基法改正の検討事項には、企業の勤怠管理や就業規則に大きな影響を与えるものが数多くあります。厚生労働省の研究会報告などを踏まえ、特に重要視されている7つの論点は以下の通りです(※まだ検討段階であり確定ではありません)。

    ① 連続勤務の上限規制(14日を超える連続勤務の禁止)

    現行法では「4週4休(4週間で4日の休日)」という条件を満たせば極端な話で48日連続勤務も合法という抜け穴がありました。しかし長期間の連勤は心身に重大な負荷を与えるため、改正案では「13日連続勤務まで」を上限とし、14日以上の連続勤務を禁止する方向です。これにより最低でも2週間に1日は休ませることが義務化される見込みです。繁忙期にシフト穴埋めで休日を返上させる運用は法律違反となり得るため、人員配置や勤務計画の見直しが必要になります。

    ② 法定休日の特定義務化

    週1日の「法定休日」について、現行法では企業がどの曜日を法定休日と定めるか明確にする義務がありませんでした。そのため週休2日制の下で「どの休日が35%割増の法定休日か」が曖昧になり、割増賃金計算をめぐるトラブルもしばしばでした。
    改正では就業規則等で事前に法定休日を特定することを義務付ける方向です。例えば「日曜を法定休日」と明示しておけば、代休や振替出勤の際にも労使で割増率の認識違いが減り、賃金計算の透明性が高まります。企業は就業規則の記載や勤怠システム設定を見直し、従業員に周知する必要があります。

    ③ 勤務間インターバル制度の義務化

    勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する仕組みです。現在は努力義務ですが、2024年時点で導入率わずか5.7%に留まっています。過労防止の観点から欧州にならい終業後11時間以上の休息を原則義務化する改正が検討されています。これが導入されれば、深夜遅く働いた翌朝は出勤時刻を遅らせなければならず、シフト調整や業務引継ぎの工夫が不可欠です。ただし中小企業や業種によっては段階施行や例外措置も議論されており、急な適用にならないよう配慮される見通しです。

    >>参考:勤務間インターバル制度とは?導入メリットと企業の対応ポイント

    ④ 年次有給休暇取得時の賃金算定方式の統一

    有給休暇を取得した際に支払う賃金について、現在は「通常賃金」「平均賃金」「健康保険標準報酬日額」の3方式から選択できます。しかし平均賃金方式では直近の勤務日数が少ない場合に「有給を取ると給与が減る」逆転現象が起こり得ます。そこで改正後は算定方法を原則「通常の賃金」に一本化し、休んでも損にならない仕組みに改める予定です。これにより労働者は安心して有休を取得でき、企業側も計算方式を統一することで管理がシンプルになります(平均賃金方式を使っていた企業では若干の人件費増となる可能性があります)。

    ⑤ 副業・兼業時の労働時間通算ルール見直し

    現行法では労働者が副業する場合、各勤務先の労働時間を合算し週40時間超過分に割増賃金を支払う必要があります。しかし他社での労働時間を企業同士が正確に把握するのは困難で、これが副業容認の障壁となっていました。
    改正案では健康確保のため労働時間の通算管理は維持しつつ、割増賃金の計算は勤務先ごとに行う「分離管理方式」への変更が提言されています。つまり週40時間超の時間外割増は各社別々に判断し、他社分との合算精算は不要とする方向です。これにより企業側の管理負担や割増支払いリスクが軽減され、副業を認めやすくなる効果が期待されます。ただし労働時間の自己管理や企業による健康チェック体制の強化も合わせて検討課題となっています。

    ⑥ 週44時間労働の特例措置の廃止

    現行労基法では、小規模の商業・接客業など従業員10人未満の事業場については週44時間まで労働可という特例があります。しかし最新調査によれば対象企業の約87%は既に週40時間内で運用しており、特例は形骸化していました。さらに同じ業務内容でも事業場規模で所定労働時間が異なる不公平との指摘もあります。
    そこでこの週44時間特例を廃止し、全業種・全規模で週40時間に統一する方向です。特例を前提にシフトを組んでいた企業では、改正後は週40時間を超える分に25%割増賃金が必要になります。人件費増への対応策や36協定の見直しなど、早めの準備が求められます。

    ⑦ 「つながらない権利」に関するガイドライン策定

    「つながらない権利」とは勤務時間外の業務連絡(電話・メール・チャット等)に応じない自由を保障する考え方です。フランスなどでは法律で勤務時間外の連絡を禁じていますが、日本では現状そのような規定はなく、休日夜間でも仕事の連絡が来ることが珍しくありません。改正議論では日本版「Right to Disconnect」として勤務時間外の連絡対応を強制しないためのガイドライン策定が検討されています。法律で画一的に罰則付き禁止とするのではなく、「どのような連絡が業務指示とみなされるか」「管理職はどう配慮すべきか」等を示す指針づくりが進む見込みです。企業側には深夜・休日の連絡手段を制限するシステム整備だけでなく、不要不急の連絡を控える企業文化の醸成や管理職教育も求められます。

    その他、注目される論点

    上記のほかにも労基法研究会では複数の論点が議論されています。その一つがフレックスタイム制の部分的活用の容認です。現行制度ではフレックスは全労働日に適用する前提のため、「出社日は定時、在宅日はフレックス」といった使い分けができません。これを改善するため、特定のコア出勤日を設けつつ他の日はフレックスを適用できる制度(部分的フレックス制度)の導入が提言されています。実現すればテレワーク併用時にも柔軟に時間管理でき、制度導入のハードルが下がるでしょう。

    また、管理監督者に対する健康・福祉確保措置の導入も検討課題です。管理職は労働時間規制の適用除外ですが、その分長時間労働が放置されやすく「名ばかり管理職」問題も指摘されています。
    裁量労働制や高度プロフェッショナル制度では導入時に健康確保措置(面接指導の実施や休養措置など)が義務付けられましたが、管理監督者にはそうした措置がなく「法の死角」になっていました。今回の議論では管理職も含めて客観的な労働時間の把握を義務付け、一定時間を超えた場合の医師面談や休息確保を企業に義務化する方向で検討されています。管理職だからといって労務管理を緩めず、組織として健康管理責任を果たす体制づくりが求められるでしょう。

    3. 労働基準法の改正はいつ行われる見込みか

    現時点で想定されている法改正までのスケジュール

    現時点(2025年末)では、労働基準法改正の具体的な施行時期や条文内容は確定していません。厚生労働省の研究会で論点整理がなされ、2025年または2026年の通常国会への法案提出が予定されていますが、国会での審議状況によって前後する可能性があります。一般的な流れとしては、研究会報告を経て労働政策審議会での議論、そして政府が法案を国会提出し可決・成立後、公布・施行というプロセスになります。

    施行時期については報道等で「2026年施行」が注目されていますが、仮に2026年に法改正が成立しても大部分の規定は経過措置を設けて段階的に施行される見通しです。企業実務への影響が大きいもの(例えば勤務間インターバルの義務化など)は周知期間が長めに設定され、2027年以降施行になる可能性もあります。人事労務担当者としては「○年○月から必ず変わる」と決め打ちするのではなく、今後の国会審議や省令・指針の動向を注視しつつ、内容が固まり次第スムーズに対応できるよう準備を進めておくことが重要です。

    4. 勤怠管理・就業規則にはどのような影響が出るのか

    勤怠管理で特に影響を受けやすいポイント

    今回議論されている改正論点の多くは、労働時間や休息の考え方を明確化するものです。そのため企業の勤怠管理や就業規則にも、これまで以上に「説明がつくかどうか」が問われるようになります。単にタイムカードを打刻させるだけでなく、労働時間の定義や管理根拠を従業員や監督官庁に説明できる運用が求められます。
    特に連続勤務日数や勤務間インターバルのルール整備が行われれば、日々の出退勤記録を前日・前週との関連でチェックする体制が必要です。今まで月単位の集計で済んでいた管理が、法改正後は日単位での連続性・間隔を管理する視点へシフトする可能性があります。シフト作成も「最大連勤は○日まで」「前日深夜勤務者は翌朝出勤不可」といった新たな制約条件を組み込む必要が生じ、調整業務の負荷が増すでしょう。

    就業規則の面でも、現行運用と規程の齟齬がないか見直すことが求められます。例えば、法定休日と所定休日の区別を曖昧にしていた会社は、規程上どの曜日を法定休日とするか明示しなければなりません。また管理監督者の範囲や待遇が実態と合っていない場合は見直しが必要です。副業に関する社内ルールも、改正後は他社との時間通算をしない前提となる可能性が高いため、「自社分の勤務時間申告義務」「過重労働時の本人申告・面談制度」など新しい観点を織り込むことが考えられます。
    さらに、勤怠管理システムの改修も避けられません。残業時間の上限やインターバルを自動チェックする機能、法定休日か否かで割増率を変える計算ロジック、管理職を含めた全社員の労働時間記録など、システム対応が必要な改正項目が多く含まれています。修正履歴や上長承認フローの記録といった適正な管理プロセスを証跡として残す仕組みもますます重要になります。

    現時点ですべき対応

    まだ法律自体は成立していないため、現段階で就業規則を改定したり勤怠システムを変更したりする必要はありません。ただし、「いざ改正となったら自社のどの部分に影響が出るか」を洗い出しておくことは非常に有益です。例えば連続勤務の実態調査や現行の休日区分の確認、管理職の労働時間状況の把握などを行い、課題があれば是正を始めておくとよいでしょう。今回の改正対応を単なる法令順守の負担と捉えるのではなく、働き方をアップデートする機会として前向きに運用改善に取り組むことが、結果的に企業全体の生産性向上にもつながります。

    5. 勤労の獅子なら法改正の対応も柔軟に行える

    約40年ぶりの大改正は企業の労務管理全体を見直す契機となります。自社の勤怠管理体制をアップデートするには、専門知識を持ったパートナーの支援が心強いです。
    「勤労の獅子」は、就業規則や現在の運用状況に合わせて専任コンサルタントが初期設定から伴走支援するクラウド型勤怠管理システムです。法改正の論点で触れた連続勤務日数や勤務間インターバル、法定休日の管理などについても、制度整備の進捗に応じて柔軟に設定を調整できる設計になっています。たとえ改正内容が流動的な段階でも、運用を止めずに変更に追随できるのが特長です。法改正対応でお悩みの企業様は、無料相談や資料ダウンロードを活用してみてください。

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    6. まとめ

    2026年に向けて検討が進む労働基準法の見直しは、長時間労働の是正や休息時間の確保、多様な働き方への対応など、働き方の再設計を目指す動きです。現時点では法案も施行日も未定ですが、有識者会議で方向性が示された以上、多少の修正や時期のズレはあっても近い将来同趣旨の改正が実施される可能性が高いと見られています。したがって人事労務担当者は、「いつから何が変わるか」だけを追うのではなく、どの論点が自社に影響しそうかを把握して早めに準備を進めておくことが肝心です。
    最後に、法改正は企業に対応を迫る「試練」でもありますが、裏を返せば自社の労務管理を見直す絶好のチャンスでもあります。現行制度の下で見過ごしていた課題を洗い出し、より柔軟で公正な働き方を実現する契機と捉えましょう。改正情報をアンテナ高く追いつつ、必要な対応を計画的に進めることで、2026年以降も安心して働ける職場環境を整えていきましょう。

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