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2025.02.06コラム

【比較表あり】変形労働時間制とフレックスタイム制の違いを徹底解説!企業の導入ポイントとは

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働き方の多様化が進む中、企業が導入する労働時間制度も変化しています。特に「変形労働時間制」と「フレックスタイム制」は、多くの企業で採用されている制度です。しかし、これらの制度は目的や運用方法が大きく異なります。本記事では、それぞれの特徴や適用範囲、導入時の注意点を詳しく解説します。

目次

1.変形労働時間制とは?概要と特徴
2.フレックスタイム制とは?概要と特徴
3.変形労働時間制とフレックスタイム制の違い
4.変形労働時間制とフレックスタイム制に適した職種
5.変形労働時間制とフレックスタイム制は併用できる?
6.勤労の獅子なら「変形労働時間制」も「フレックスタイム制」も管理可能
7.まとめ

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1.変形労働時間制とは?概要と特徴

変型労働時間制の基本ルール
変形労働時間制とは、企業が一定期間内の労働時間を柔軟に設定できる制度です。労働基準法では、原則として「1日8時間・週40時間」を超える労働は時間外労働とされます。しかし、変形労働時間制を活用すれば、繁忙期に労働時間を長く設定し、閑散期に短縮することで、年間の労働時間を効率的に管理できます。
例えば、小売業や製造業では、繁忙期に1日10時間の勤務とし、閑散期には6時間に短縮するといった調整が可能です。この仕組みにより、残業時間を抑えつつ、労働時間の偏りを是正できます。
ただし、導入には労使協定の締結が必要で、1年単位の変形労働時間制では「1日最大10時間・1週間最大52時間」という制限が設けられています。
所定労働時間40H超、40H未満.png所定労働時間8H超、8H未満.png

変形労働時間制の種類と適用範囲
変形労働時間制は、適用期間に応じて以下の3種類に分けられます。
・1か月単位の変形労働時間制:1か月の労働時間を平均して週40時間以内に収める方式。経理業務やタクシー運転手など、月内で業務量が変動する職種に適用されます。
・1年単位の変形労働時間制:年間の繁忙期と閑散期に応じて労働時間を調整する方式。建設業や製造業など、季節ごとに業務量が大きく変動する職種に適しています。
・1週間単位の変形労働時間制:小売業や飲食業のように、1週間の中で労働時間の変動が大きい職種に適用されます。ただし、従業員30人未満の事業所に限られます。

関連記事:1か月単位の変形労働時間制|正しく理解できていますか?
関連記事:1年単位の変形労働時間制とは?1か月単位の変形労働制との違いを比較

2.フレックスタイム制とは?概要と特徴

フレックスタイム制の基本ルール
フレックスタイム制は、労働者が始業・終業時間を自ら決定できる制度です。一定の期間内(清算期間)で総労働時間の基準を満たしていれば、日ごとの労働時間を柔軟に調整できます。例えば、ある日は6時間勤務、別の日は10時間勤務といったスケジュールの調整が可能です。この制度により、通勤ラッシュを避ける、家族の都合に合わせるなど、個々の事情に応じた働き方を実現できます。
企業がフレックスタイム制を導入する際には、労使協定の締結が必須です。この協定では、清算期間(最長3か月)、総労働時間、コアタイム(設定する場合)などを明確に定める必要があります。また、清算期間内の実労働時間が法定労働時間を超えた場合、その超過分は時間外労働として扱われ、割増賃金の支払い義務が発生します。なお、1か月を超える清算期間を設定する場合、週平均50時間を超える労働時間には別途規制が適用されるため、適正な管理が求められます。

コアタイムとフレキシブルタイムの仕組み
フレックスタイム制では、従業員が労働時間を柔軟に調整できるよう「コアタイム」と「フレキシブルタイム」が設定されるのが一般的です。この制度を適切に運用することで、業務の効率化やワークライフバランスの向上が期待できます。

・コアタイム:企業が定めた時間帯の中で、従業員が必ず勤務しなければならない時間帯を指します。例えば「10時~15時」のように設定されることが多く、この時間帯に全員が出勤することで、会議やチーム作業の時間を確保できます。ただし、業務内容によっては長時間のコアタイムが逆効果になることもあるため、適切なバランスが求められます。
・フレキシブルタイム:従業員が自由に出勤・退勤できる時間帯を指します。例えば「7時~10時」や「15時~19時」のように設定され、個々のライフスタイルや業務内容に合わせた柔軟な働き方が可能です。育児や通院など、個人の事情に応じたスケジュール調整がしやすい点がメリットとなります。

また、企業によっては「スーパーフレックスタイム制」としてコアタイムを設けず、すべての時間をフレキシブルタイムとするケースもあります。特にリモートワークの普及が進む中で、スーパーフレックスタイム制を導入する企業が増えています。ただし、完全な自由時間制にすると労働時間の管理が難しくなるため、適正な勤怠管理システムの導入や定期的な報告ルールの整備が重要です。
コアタイム・フレキシブルタイム.png

関連記事:フレックスタイム制の導入で実現する柔軟な働き方とは?メリット・デメリットを徹底解説!

3.変形労働時間制とフレックスタイム制の違い

労働時間の決定権の違い
労働時間の決定権に関して、変形労働時間制とフレックスタイム制には根本的な違いがあります。
・変形労働時間制では、企業が繁忙期と閑散期を考慮し、事前に労働時間を定めます。具体的には、企業が設定した一定期間(1か月・1年・1週間)ごとに労働時間を調整し、業務の必要性に応じて労働時間を決定します。そのため、従業員は企業が決めた時間に従って勤務する必要があり、個々の裁量はほとんどありません。
・フレックスタイム制では、労働者自身が始業・終業時間を自由に調整できます。清算期間内に定められた総労働時間を満たしていれば、1日の労働時間を柔軟に変更できる仕組みです。たとえば、ある日は6時間勤務、別の日は10時間勤務といった働き方が可能であり、通勤ラッシュを避ける、家庭の都合に合わせるなどの柔軟なスケジュール調整ができます。

このように、変形労働時間制は企業の業務効率を最大化するために導入される一方、フレックスタイム制は従業員のワークライフバランスを重視する制度です。そのため、企業は導入の目的を明確にし、自社の業務形態に適した制度を選択することが重要となります。

時間外労働の計算方法の違い
変形労働時間制とフレックスタイム制では、時間外労働の考え方が異なります。
・変形労働時間制では、労働時間の計算方法は日単位・週単位・期間単位の3つに分かれます。例えば、1か月単位の変形労働時間制を採用している場合、企業はあらかじめ月の総労働時間を定め、特定の日に8時間を超えて勤務しても、期間内で法定労働時間の範囲内に収まっていれば時間外労働にはなりません。ただし、期間全体の労働時間が法定労働時間を超えた場合、その超過分は時間外労働として扱われます。
・フレックスタイム制では、清算期間内の総労働時間が法定労働時間を超えた場合に時間外労働が発生します。清算期間が1か月以内であれば、期間内で定められた法定労働時間を超えた分が時間外労働となります。1か月を超える清算期間(最大3か月)を設定している場合、週平均50時間を超えた労働時間が時間外労働の対象になります。

このように、変形労働時間制では、企業が業務の繁閑に応じて労働時間を配分できる一方、フレックスタイム制では、従業員が自らの働き方を調整できるという違いがあります。どちらの制度も、時間外労働が発生する場合には割増賃金の支払いが必要となるため、正確な勤怠管理が不可欠です。

【変形労働時間制とフレックスタイム制の違い】
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4.変形労働時間制とフレックスタイム制に適した職種

変形労働時間制が向いている業種・職種
変形労働時間制は、業務の繁閑が明確であり、特定の時期に労働時間の調整が必要となる業種に適しています。以下の業種・職種では、変形労働時間制の導入によって業務効率を高めやすくなります。

・建設業・製造業:季節やプロジェクトの進捗状況によって業務量が大きく変動します。例えば、建設業では天候の影響を受けることが多く、繁忙期と閑散期がはっきりしています。製造業では、受注状況によって生産スケジュールが変わるため、年間を通して労働時間を調整する必要があります。
・小売・飲食業:曜日や時間帯によって来客数が変動するため、週単位で労働時間を調整することが求められます。特に週末や祝日は忙しくなる傾向があるため、こうした繁忙日には労働時間を長めに設定し、平日に短縮することで効率的な人員配置が可能となります。
・経理・タクシー業務:月末や期末に業務が集中する職種では、変形労働時間制を活用することで、業務が少ない時期には労働時間を短縮し、繁忙期には労働時間を延長することが可能です。経理業務では決算時期に業務が集中しやすく、タクシー業務では天候やイベントの影響を受けるため、需要に応じた労働時間の調整が重要になります。

フレックスタイム制が向いている業種・職種
フレックスタイム制は、業務の進行に個人の裁量が求められ、勤務時間の自由度が高い職種に適しています。以下の業種・職種では、フレックスタイム制の導入により柔軟な働き方を実現できます。

・IT・通信業:エンジニアやプログラマー、システム開発者などは、業務の特性上、決められた時間に出社する必要が少なく、個人の裁量で作業を進めることが可能です。プロジェクトごとにタスクが決められるため、作業時間を柔軟に調整できるフレックスタイム制が適しています。
・企画・マーケティング職:新しいアイデアの立案や分析など、個人の判断で進められる業務が多い職種では、フレックスタイム制を活用することで生産性を向上させることができます。市場調査や広告戦略の立案など、業務ごとに集中すべき時間帯が異なるため、自ら最適な労働時間を決められる制度が有効です。
・デザイナー・記者:クリエイティブ職では、納期や案件ごとのスケジュールに合わせて勤務時間を調整することが求められます。特に、デザイナーやライター、ジャーナリストなどは、作業のピークが不規則になりやすいため、フレックスタイム制を導入することで効率的な働き方が可能となります。

5.変形労働時間制とフレックスタイム制は併用できる?

併用が認められていない理由
労働基準法では、変形労働時間制とフレックスタイム制の併用は認められていません。これは、両制度の根本的な仕組みが相反するためです。
・変形労働時間制:企業が業務の繁閑に応じて、一定期間内の労働時間をあらかじめ設定する制度です。従業員は、会社が定めた労働時間に従って勤務する必要があります。
・フレックスタイム制:労働者が自らの判断で始業・終業時間を決定し、清算期間内で総労働時間を満たせばよい制度です。個々の従業員の裁量が大きく、日ごとの労働時間のばらつきが認められます。

この2つの制度を同時に適用すると、企業があらかじめ決めた労働時間と、従業員が自由に決定できる労働時間の整合性が取れなくなります。そのため、労働基準法上、変形労働時間制を適用する労働者にフレックスタイム制を導入することはできません。
なお、一部の企業では、部署ごとに異なる制度を導入し、例えば「製造部門は変形労働時間制」「開発部門はフレックスタイム制」といった形で運用するケースもあります。しかし、同じ従業員に対して両制度を同時に適用することはできないため、導入の際は慎重に検討する必要があります。

6.勤労の獅子なら「変形労働時間制」も「フレックスタイム制」も管理可能

「勤労の獅子」は、変形労働時間制とフレックスタイム制どちらにも対応できる勤怠管理システムです。
変形労働時間制では、日単位で所定労働時間の異なるシフトを設定できます。さらに、日単位、週単位、変形期間の3つの期間で労働時間・残業時間の算出を行います。
フレックスタイム制では、コアタイムやフレキシブルタイムの設定、算定期間による労働時間管理を行い、残業時間の計算も正しく行います。
【変形労働時間制の管理方法】変形労働管理画面.png

【フレックスタイム制の管理方法】
フレックスタイム制管理画面.png

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7.まとめ

変形労働時間制とフレックスタイム制は、どちらも柔軟な働き方を実現するための制度ですが、その目的や適用範囲、運用方法には大きな違いがあります。変形労働時間制は、企業が業務の繁閑に応じて労働時間を設定することで、労働力の効率的な配分を可能にします。一方、フレックスタイム制は、従業員が自ら勤務時間を調整できるため、ワークライフバランスの向上につながります。
企業がこれらの制度を導入する際には、それぞれの特徴を理解し、自社の業務形態や従業員の働き方に合った制度を選択することが重要です。また、労使協定の締結や適切な勤怠管理を行うことで、制度の適正な運用が可能になります。
企業の生産性向上と従業員の働きやすさを両立させるために、適切な労働時間制度を選び、正確な管理を実現しましょう。

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